top of page

中年以降の正しい筋トレ・有酸素運動

  • 執筆者の写真: UMEクリニック
    UMEクリニック
  • 1月5日
  • 読了時間: 4分
中年以降の正しい筋トレ・有酸素運動

中年以降、筋力は確実に低下していく

加齢とともに筋力は徐々に低下していきます。

特に影響を受けやすいのが「下肢筋力」や「体幹筋力」で、これは転倒リスクやフレイル(虚弱)、将来的な要介護状態とも深く関係します。


そのため、中年以降は意識的な筋力トレーニング(筋トレ)が必須という点は、近年の運動医学ではほぼ共通認識です。

一方、有酸素運動は「血管」に良い

ウォーキング、ジョギング、自転車などの有酸素運動は、

  • 血圧の改善

  • 動脈硬化の進行抑制

  • 心血管イベントリスク低下

など、血管に対する明確なメリットがあることが多くの研究で示されています。


この血管への良い影響の一つを、当院ではFMD検査(血流依存性血管拡張反応)で数値として評価しています。

FMDは、血流が増えたときに血管がどれだけ拡張できるかを見る検査で、血管内皮機能(血管の若さ)を反映する指標です。


問題:有酸素運動をやりすぎると、筋トレ効果が下がる?

ここで一つ問題です。

実は、有酸素運動をやりすぎると、筋トレによる筋力・筋肥大効果が弱くなる可能性がある

ことが、複数の研究やメタ解析で報告されています。


これは「干渉効果(interference effect)」と呼ばれ、

  • 長時間の有酸素運動

  • 高頻度(週4〜5回以上)

  • 特にランニング中心

といった条件で起こりやすいことが知られています。


つまり、筋肉のために筋トレをしているのに、有酸素をやりすぎて筋力アップを打ち消してしまうという、本末転倒な状況が起こり得るのです。

では、筋トレ+有酸素はどう組み合わせるのが正解か?

ここで重要になるのが「量・強度・順番」です。


■ポイント1:有酸素は「やればやるほど良い」わけではない

血管内皮機能(FMD)に関する研究をまとめると、

  • 中等度の有酸素運動

  • 1回20分〜40分

  • 週2〜3回

この程度で、FMDは十分に改善することが示されています。

逆に、60分以上の有酸素を頻回に行っても、血管への追加効果は頭打ちになりやすく、筋力面のデメリットの方が目立つ可能性があります。

ポイント2:筋トレと有酸素の「順番」が重要

同じ日に行う場合は「筋トレ → 有酸素運動」という順番がおすすめです。


理由は、

  • 先に有酸素を行うと筋疲労で筋トレの質が下がる

  • 筋トレ後に有酸素を行っても、FMD改善に必要な血流刺激(shear stress)は十分得られる

と考えられているためです。

■ポイント3:有酸素の「種類」も選ぶ

研究では、

  • ランニング:干渉効果が出やすい

  • 自転車:干渉効果が少ない

という傾向も示されています。おすすめは自転車(エルゴメーター)やクロストレーナーです。

ランニングは膝関節の負担という面でもあまりお勧めできないため、下肢への衝撃が少ない有酸素を選ぶのが合理的です。


FMD検査を使うと「有酸素の適量」が見えてくる

ここでFMD検査が活きてきます。


FMDが低めの場合(境界域〜異常値:4〜6%以下)

  • 有酸素運動が不足している可能性

  • 週2〜3回・20〜40分の中等度有酸素を追加

  • 8〜12週後にFMDを再評価

※血管内皮機能の改善が数値で確認できることが多いです。


FMDが良好な場合(正常:7%以上)

  • 有酸素は「維持量」で十分

  • 筋力維持・筋肥大を優先して筋トレ中心へ

※不必要に有酸素を増やす必要はありません。


まとめ:筋肉も血管も守るために

  1. 中年以降、筋トレは必須

  2. 有酸素運動は血管(FMD)に明確なメリット

  3. ただし、有酸素のやりすぎは筋力アップの妨げになることがある

  4. 有酸素は「週2〜3回/20〜40分」で十分

  5. 筋トレ→有酸素の順番がおすすめ

  6. FMD検査を行えば、運動量が適切かを数値で確認できる


筋肉は鏡で見えますが、血管は見えません。

FMD検査は「その運動が本当に血管に効いているか」を見える化する検査です。

(参考文献)

  • Raphael Silveira Nunes da Silva, et al. Effects of aerobic, resistance and combined training on endothelial function and arterial stiffness in older adults: A systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2024 Dec 2;19(12):e0308600.

  • Tommy R Lundberg, et al. The Effects of Concurrent Aerobic and Strength Training on Muscle Fiber Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med 2022 Oct;52(10):2391-2403.

  • Jacob M Wilson, et al. Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. J Strength Cond Res. 2012 Aug;26(8):2293-307.


UMEクリニックむさし村山院長 梅津拓史

〒203-0022 東京都武蔵村山市榎1-1-3

イオンモールむさし村山1F

電話番号:042-565-7711


 
 
 
bottom of page